皿うどんが美味い。ちゃんぽんも美味い。さすが本場だ。長崎中華街で腹を存分に満たした私は、東北へ帰る団体旅行ご一行様に「お疲れ様でした!ここで失礼します」と店前で別れを告げた。私の旅はここからだ。キャリーケースを引きずり、港へ向かう。すでに船の受付が始まっていた。長崎旅行が決まった時点で、船の予約を入れていた。


抜群に美味かった本場長崎の皿うどん
抜群に美味かった本場長崎の皿うどん

 目指すは、あの世界遺産! 中型船の入口に、すでに100人を超える行列がずらり。もしかしたら、おすすめ席とかあったのだろうか。列の中盤を占めるのは修学旅行生たち。修学旅行で「これ」を体験できるとは大変うらやましい。外国人の姿も多い。受付しているということは「出航できる」証でもあり、ひと安心。波が高ければ、そもそも船は出航することもできないという。


長崎港で出航を待つ観光客たち
長崎港で出航を待つ観光客たち

 最後部の席に座ると、中型船は動き出した。波はほとんど感じない。期待が高まる。ツアー会社の説明が始まり、DVDが流れる。目的地「端島(はしま)」まではおよそ19キロ、片道45分ほどの船旅。意識を画面に向け、ごく自然なうちに船旅に体を慣れさせようとする配慮だろう。やがて座席で、全員で背伸びの運動。長崎の港湾地帯を抜けていく。


 20分くらいすると幅1~3キロの内湾を抜け、外海へ抜ける。情勢が一気に変わった。波が押し寄せ、船を揺らす。中学生たちの「きゃっ」という小さな悲鳴が聞こえる。しばらく来ないかなと思ったら、また波が来る。ここは外海。波をかき消すものはない。波をかき消すものがあるとすれば、私たちが乗っている船なのだ。前の座席の背もたれによりかかる中学生たちが増えてきた。


 やがて、目的地・端島が姿を見せた。一般的に知られている名は「軍艦島」。荒海に浮かぶ、まさしく軍艦のよう。醸す雰囲気は威容であり、異様である。


海に浮かぶ世界遺産・軍艦島
海に浮かぶ世界遺産・軍艦島

 端島は160メートル×480メートルの小さな島。ここで石炭が発見され、明治時代に本格採掘が始まった。昭和30年代には人口5000人超に。学校も病院も映画館もある島で、世界一の人口密度とされた。石炭から石油へのエネルギー転換で昭和49年に閉山し、以後、無人島になっている。2015年に世界遺産に登録された。船で周囲を巡ると、集合団地をはじめ、当時の名残を目撃できる。


外海から眺める軍艦島
外海から眺める軍艦島

かつての栄華の名残がある軍艦島
かつての栄華の名残がある軍艦島

 その軍艦島に上陸…できるのか? 2階デッキに上がった。まともに立っていられない。波の上下動は体感1メートル。皿うどんで満腹になったことを後悔した。この時点で上陸は無理だなと理解した。それでも船は島へ寄っていく。船員たちは岸にロープを掛け、接岸しようと必死に試みる。波を浴びながら、必死に仕事をする。その懸命さは船内にも伝わってきた。これがプロの仕事だ。


軍艦島まであと数メートルに迫った
軍艦島まであと数メートルに迫った

 やはり上陸は叶わなかった。港へ引き返す。波に揺られ、皆、一様に疲れている。修学旅行の中学生たちは、この1時間少々で何を思い出に残しただろうか。軍艦島の姿か、船酔いか。あのプロの姿が、1人でも多くの脳裏に残っていればいいなと思う。【金子真仁】


「軍艦島」へ行くには?

 いわゆる「軍艦島クルーズ」と呼ばれる船旅は現在、複数の会社が運営しており、会社によって出港場所が違います。基本的にはJR長崎駅からタクシーや路面電車に乗り、長崎港方面を目指します。長崎駅からそう遠くありません。予約はお早めに。本文に書いた通り、天候次第では出航できない可能性、上陸できない可能性もあります。船酔いに弱い方は必ず対策を。


Wonderful View No.119 “The Gunkan-jima island”

Hashima is a small island floating in the sea of Nagasaki. It is known as "Gunkan-jima" from the figure such as the warship. Gunkan means the warship. There was a coal mine in Gunkanjima, and approximately 5,000 people lived there. The island that was world's best population density is registered with a world heritage now once.


[DATA]

Address: Motofune-cho, Nagasaki-shi, Nagasaki-ken

Access: About ten minutes by car from JR Nagasaki station

Parking: For several hundred cars in total