その日、本土最東端・納沙布岬でちょうど正午を迎えた。さて、午後。網走から知床半島経由で、すでに早朝から約270キロも運転している(しかも全て一般道)。宿泊地の帯広までも約270キロ(これまた全て一般道)。観光する気力は正午にしてほぼなく、無事故で帯広までたどり着くことを最優先と考え、根室から釧路までの約150キロ、写真撮影はおろかカメラを取り出すことさえしなかった。


この150キロ、交通量がそこそこある割に休憩場所が少ない。絶景道という訳でもなく、北海道攻略の上である意味「難所」である。あまりにも眠くなり、車が滅多に通りそうにない小径に入ってしばし仮眠したzzz。頭がスッキリしたところで、やっぱりどこかへ行こうと思い立ち、そそくさと海沿いへ。


浦幌町・直別地区の海岸のすばらしい景観
浦幌町・直別地区の海岸のすばらしい景観

ここは浦幌町・直別地区。高くボリュームのある波が押し寄せ続けるも、それを受け止めるだけの広さと度量がある海岸が続く。わずかながらJR根室本線が海に近づくから、電柱も立ち並び情緒があふれる。数キロ進んだところで目的地が見えた。日没したかどうかの時間帯。だいぶ薄暗い。海岸に面した丘の上が目的地だ。手前(東側)からは急斜面になり、かつ雪が残っているので奥の西側までぐるっと周り、丘の上へ。


夕暮れが迫り薄暗くなる浦幌の海岸
夕暮れが迫り薄暗くなる浦幌の海岸

ダート道を1~2キロ進み、明るいうちに何とか着いた。昆布刈石(こぶかりいし)展望台である。「日本ではないような景色」はおろか「地球ではないような~」との表現も、決して誇張ではないような、印象的な景観だ。赤茶けた何層もの地層が、どうしても目に入る。押し寄せる波、180度に伸びる水平線。立ちつくしてしまう。


絶景の丘・昆布刈石展望台
絶景の丘・昆布刈石展望台

昆布刈石展望台を少し後方より撮影
昆布刈石展望台を少し後方より撮影

昆布刈石展望台のいいところは、そこに至るダート道の雰囲気でもある。運転は難しい。この日のように雪解け水でぬかるんでいると、タイヤが普通に滑る。ちょっと危ないかな、引き返した方がいいのかな。迷いながらも、フラットなダートにたどり着き、少しゴロゴロと音を立てながら夕暮れの高台を走る。これ、なかなかの贅沢だ。


昆布刈石展望台から西側を望む
昆布刈石展望台から西側を望む

人が大勢集まると収拾がつかなくなるからだろうか、北海道にはとんでもなくいい場所なのに、観光ガイドブックでほとんど紹介されない場所がいくつもある。昆布刈石展望台は私が思う限り、その筆頭格にある。【金子真仁】