あの「名言」再び? 日本ハムの新監督に決まった新庄氏の記者会見をテレビで見ながら思わず、そんなことを考えていました。

現役時代、少し取材しただけの新庄氏に驚かされたのは3年前18年11月。同氏があるイベントに出演した際に取材に出向いたときのです。

記者会見の後、たまたま当時、コメンテーターとしてこちらが出演していた大阪ローカル番組も来ていました。「インタビュー枠をもらってるんで、どうせなら高原さん、聞いてくれませんか?」。お手軽なスタッフの依頼を承諾したのです。

こちらの顔を見るなり「お~! 久しぶり! まだ記者やってるんですか?」と新庄氏は大笑い。99年の「敬遠球打ち」の記事は書きましたが、その他大勢の記者の1人だったろうし覚えてないかも…と思っていたこちらは妙にドキドキ。「まだ、やってんねん…」と照れくさく、少しうれしい思いをしたものです。

話題の中心は当時、次期阪神監督に決まった矢野燿大氏についてでした。現役時代から知るだけに「普通に話してたら矢野さんはすごく面白いんだけど野球になったらすごくマジメで。オレからしたら暗いかな~、と。そんな風に思いますね」。

「新庄の考え」的な言葉は次々に出てきました。選手育成についても独自の視点でメンタル面を重視している様子。「プロに入ってくる選手は普通、みんなうまいよ。その力を出せるかどうかは、結局、大観衆の前でそれを出せるかどうかでしょう」。技術以上にメンタルの重要性を説いたものです。

その一例として挙げたのが現役時代の同僚で、今回、GMとなった稲葉氏との“名言エピソード”でした。当時、満塁で打席が回ることの多かった稲葉氏がチャンスで硬くなることに「なんで?」と質問したそう。

「いや、失敗すると(ファンに)文句言われると思って。緊張してしまうんです」。そう答えた稲葉氏に新庄氏はこう返したといいます。

「アッちゃん(稲葉)目立ってないから大丈夫だよ。ヤジられるのはオレだから」

いまは世の中全体に歓迎されているムードですが来季の成績、あるいは戦い方次第で日本ハム、稲葉GMが批判されることもあるでしょう。そんなときも新庄氏は「ヤジられるのはオレだから」と笑い飛ばすかもしれません。

18年当時、新庄氏が嘆いていたのはこういうことでした。「なんでオレには監督とか何のオファーも来ないの? 阪神からさ。ゴールデングラブだってベストナインだって取ってるのに。オレなら2年で勝たせるよ。ダメか?」

そんな“グチ”も出ていましたが、ついに、本当に新庄監督が実現しました。「ホンマに大丈夫か」「日本ハムの責任は重いで」などと思っている部分は否定しません。それでもそんな心配を吹き飛ばして「やっぱりおもろい」と思わせる男。それが新庄氏でしょう。ある意味、これぞプロ野球。阪神との対戦も含めて、来季の新庄ファイターズに注目したいものです。【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「高原のねごと」)

就任会見に臨み「1番付けまーす!」と笑顔で話す日本ハム新庄新監督(撮影・佐藤翔太)
就任会見に臨み「1番付けまーす!」と笑顔で話す日本ハム新庄新監督(撮影・佐藤翔太)