2021年のワールドシリーズ(WS)は、古豪ブレーブスがアストロズを破り、1995年以来26年ぶりに世界一に輝き、幕を閉じました。両チームとも日本人選手は所属していませんでしたが、ブレーブスのブライアン・スニッカー監督(66)、アストロズのダスティー・ベーカー監督(72)と、ベテラン監督率いる対決は、例年とは少し異なる興味深い戦いでした。

近年のメジャーでは、セイバーメトリクスをはじめ、細かいデータ分析が浸透していますが、今回のWSは「オールドスクール対決」とも言われました。もちろん、ブレーブスもアストロズもデータを重要視していますが、両軍監督は伝統的でオーソドックスな野球観も持ち続けています。

ブレーブスの左腕クローザー、ウィル・スミスは、スニッカー監督のことを「オールドスクールのスキッパー(船長)」と表現しています。シーズン中はめったにミーティングをせず、クラブハウス内では選手のエリアに立ち入ることが少ない一方で、監督室の扉は常に開いているといいます。登板後には、結果や内容にかかわらず、必ず握手を交わすのもスニッカー監督流。スミスは「めったにスピーチをすることはないが、それは我々にとっていいこと。彼は我々がプロであることを分かってくれている」と、固い信頼関係があることを強調しています。

昨季から指揮を執るベーカー監督は、就任時、オールドスクール野球とデータ野球を共存させていく考えを明かしました。アストロズといえば、極端な守備シフトを敷くことが有名で、フロント陣は基本的にデータ重視。それでも、同監督は、たとえば継投の場合、データや対戦成績だけでなく「マウンドに行って投手の目を見て決める」と、話しています。

スタットキャストをはじめ、映像や数値化されたデータは目安になりますし、ファンからすると、違う角度からも野球が楽しめるはずです。その一方で、野球には数字や記録に表れない側面が多いのも事実です。

オールドスクールのスキッパー2人率いる両軍がプレーオフを勝ち抜き、頂上で対決したのは、単なる偶然なのでしょうか。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)